12月コラム
『知恵』
さあいよいよ12月に入り、今年も残すところあと1ケ月。
ほんと1年過ぎるのは早いものですね。
さて、今回は最近、自分の幼少期の頃を思い出す機会があったので書いてみたいと思います。
ご存じの方もいるかと思いますが、幼少期は自然の中で遊ぶのが大好きな子どもでした。
ザリガニ取や、虫取り、基地づくりなど、まあ、昔の男の子がやるようなことは一通りやってきた感じです。
中でも好きだったのが、自転車で走ることと、何かを捕まえること。
自転車が好きだったのはF1という車のレースが好きだった影響からです。
今思うと首は大丈夫なのか?と心配になるのですが、大人用のヘルメットをかぶって自転車に乗ってF1ごっこをしていました。
また、家の裏にグランドがあり、そこに置いてあるトンボ(砂をならす機材)を使って、鈴鹿サーキットなどレースコースを描き、はみ出さないように上手に走れるか?という遊びをやっていました。
本物のF1は数十周コースを周るので、それを真似して、何十周もコースを走りまわるのでした。
1人でもやっていたのですが、やはり遊び相手がいた方が楽しいこともあり、相手は自然と弟になります。
あの手この手で誘い出し、一緒にグランドに描かれたコースを何周も走りました。
レースに憧れている私はそのうち、競争しようと提案しはじめます。
F1にさほど興味のなかった弟なので、最初は付き合ってくれるけど、途中で飽きたり、1歳とはいえ幼少期の年齢差は大きく、何をしたって兄には勝てない。
「もうやりたくない」と、いつもなるのでした。
それはまずいので、ハンデを与えたり、別の条件を出したりと、あの手この手で、やる気にさていたのが懐かしい思い出です。
もう一つ楽しかったのが、何かを捕まえること。
昔住んでいた家の前に池があり、そこで、おじいちゃんが色々と教えてくれました。
自分専用に短い釣竿を作ってくれたり、遊び方を教えてくれたおかげで、幼稚園の頃から釣りをしていました。
また、『もんどり』という仕掛けを使って小魚を捕まえることも教えてもらいました。
釣れた大きな魚は、水槽にいれて飼ってくれたり、もんどりで捕った小魚(モロコや鮒)は、から揚げや南蛮漬けにしてくれました。
子どもの口なので、美味しいと思ったことはなかったけど、自分の捕まえたものが食べれる。というだけで、嬉しかったし楽しかったです。
他にも家の裏にある水路でドロドロになりながらやったザリガニ捕り。
捕りすぎて、水路からザリガニがいなくなったこともありました。
虫取りで言うと、憧れのクワガタが家に植えてあったイチジクの木にいるのを発見。
捕まえようとするも、木にあいている穴の奥に入っていって取れません。懐中電灯で奥を照らすと、かすかに見える黒いクワガタの姿。
何が何でも取りたい気持ちから、鉄の棒を探してきて、穴を広げる作戦を実行。
穴を広げるもさらに奥に入っていくクワガタ。
暗くなるまで、あれやこれやとやりましたが、捕獲できず、めちゃくちゃ悔しい思いをしたのも鮮明に覚えています。
数日後、穴を広げたイチジクの木が枯れてしまい、怒られたのもほろ苦い思い出です。
そんな幼少期と今も大差なく過ごしており、休みの日は海へ山へと出かけ、自然の中で遊んでいます。
最近ではホエールの保護者さんと一緒に釣りに行くこともあります。
さて、話が変わって私の師匠の話を少ししたいと思います。
師匠の一人、花まる学習会という塾をされている高濱正伸さん。
そんな高濱さんのことを初めて知ったのは、テレビ番組に出演されているのを見て「あ、自分がやりたいのはコレ!」と思ったのが最初でした。
『外遊びこそが最高の学びだ』という考えで、私が感覚的に「大事」と思っていたことを一つ一つ、的確に言語化されていました。
番組の中で、一番印象的だったのが、外に出て行って、「あの電柱の高さを求めろ」という遊びでした。
皆さんならどうやって求めますか?
子ども達は落ち葉を使って電柱の高さを計算し始めたのでした。
落ち葉を折って90度の角度を作る、更にそれを半分に折ると45度が作れる。
90度と45度が作れれば直角二等辺三角形ができるので、電柱の高さは何とでも計算できるわけです。
分度器や三角定規は無くても自然の中にある物を使えば、何とかなる。
「ないからできない」ではなく、「ある物で何とかする」
『生きる力』そのものです。
自分の頭の中にある「知識」と、自分の周りにある自然の「物」を組み合わせて、「何とかする」ちから
それを『知恵』と呼ぶのだと思います。
知恵を身につけるのに必要なことが自然の中で遊ぶことなのだと思います。
基地づくりをする中で、空間を考え、組み立てる順番を考え、紐が無ければ、植物のツルを使ってみたり。と『何とかする力』を身につけ。
虫取りをする中で、相手(虫)の気持ちを考え、こちらに気付いているのか?など、様子を見ることから『想像力、観察力』が身につく。
色んな仲間(異学年)と遊ぶ中で、全員が楽しめるルールを考える、すると『考える力』が身についていくのだと思います。
そんな自分の幼少期にやってきたことを振り返ってみると、今の自分の仕事に全部必要な事ばかり。
将来必要なことが子どもの頃から分かっていたのか?
と思うほど不思議です。
今も『遊びこそが最大の学び』であり、『遊びは仕事』
だと思っています。
知識は検索すれば簡単に手に入る時代かもしれませんが、『知恵』は実践の場や、たくさんの経験(遊び)を通してしか身につかないものなんだと思います。
さあ、大人も子ども、もたくさん遊びましょう。
舟木将人