8月コラム

『原点にもどる』

 

 オリンピックでは連日熱いたたかいが繰り広げられていますが、個人的に気になるのはやはり体操。

橋本選手が見事金メダルを獲得した男子個人総合では、技の度に「いける!」「よし!」と気付いたら声を出して応援していました。

途中、吊り輪では実施した技が思い通りに認められず、心が乱れてもおかしくない場面でしたが、最後まで見事に自分の演技をやりきり金メダルに輝きました。
 

そんな心の強さ、力強い演技に普段、感じない体の奥から湧き上がる「熱いもの」を感じました。

金メダル獲得おめでとうございます。

 

 

さて、今回は私の原点ともいえる出来事について書いてみたいと思います。

 

 

<選考会>

大学生の全国大会(インカレ)があり、学内で選考会を行い、出場メンバーが決まります。

 

選考会での結果を元に、上位数名がインカレメンバーに選出されます。

 

大学1年生の夏、初めての選考会

私の実力は選考会を突破できるかどうか際どいところで、ノーミスで演技できれば、可能性がありました。

 

ただ、実際は途中でミスをしてしまい、出場の可能性は無くなりました。
著書にも書いたので詳細は割愛しますが、その後、気持ちが切れてしまい、残りの種目を投げやりに演技をしてしまいました。

 

そんな演技を見た先輩が私を叱ってくれ、猛省するという出来事がありました。

 

 

<初めて見た光景>

その年、山形県で開催されたインカレ。

私を含む試合に出ないメンバーは応援チームとして、名古屋から飛行機で移動し、3泊4日の日程で山形まで応援しにいきました。
 

試合開始時間になると、選手は音楽とともに入場し、一人ひとり所属と名前が呼ばれていきます。

選手達の名前を呼ばれ手を挙げる姿が、とても輝いていて見えました。

 

千人を超える数の観客が体育館に集まり、声援が飛び交う中で、演技している選手達を見て、「自分もあっち側に行きたい」と強く思いました。

 

 

<ふと感じた事>

喉を枯らしながら仲間の応援をし、他大学の選手を見ては刺激を受け、仲間と「あーだこーだ」語りながら、宿でご飯を食べていました。

 

そんな時、ある思いが自分の中に浮かんできました。

「何となく楽しく過ごしているけど、何してるんだろう自分は。」

交通費も宿泊費も全部、親に出してもらって来ている。

応援という大義名分はあるけど、そんな事ではない。

 

その時、考えた親の気持ち。

「試合に出るの?」と確認することもなく、一言の文句も言わず旅費を出してくれていました。

でも、きっと応援団として試合に行ってほしいわけでもないだろうし、旅行気分で応援に行く為に出してくれたわけでもないと思う。

 

自分自身も応援団になりたくて大学に行ったわけじゃないし、選手としてやりたくて大学に進んだ。

 

だから余計に感じた、「これでいいのか?」という気持ち


同じ、旅費なら、「選手として使いたい」と強く思いました。

 

それまで、何となく楽しかった時間が、急に「申し訳ない時間」に変わりました。

 

何より、全力でやりきった上で、選手になれなかったわけではなく、途中で投げ出してしまったあの選考会です。

申し訳なさと悔しさに包まれた瞬間でした。

 

 

<これまで得られなかったもの>

・選考会での投げやりな演技

・叱ってくれた先輩

・観客席から見た光景

・親に対して感じた申し訳なさと自分への悔しさ

 

全てが繋がり

それ以降、望んでる結果は得られなかったとしても「絶対に投げ出さない」 「最後までやりきる」

そんな気持ちを持つようになりました。

 

「投げ出さない」「最後まで全力でやる」を始めると、それまで得られなかったものが得られるようになりました。

 

思い返してみると、自分は小さい頃から、上手くいかないことがあれば、よく投げ出してきました。

 

テレビで茹で卵を使った料理を知り、作ったことがありました。

初回はうまくできたのですが、2回目以降は殻を上手にむけなかったり、きれいに切れなかったりで、途中で嫌になり、ぐちゃぐちゃにしたり、途中で食べたりしたのを覚えています。

 

車の絵を書くことや工作をするのも好きだったのですが、思い通りにできないと、途中で破いたり壊したりしていました。

 

「途中であきらめるのはよくない」

何度も言われてきたし、頭ではわかっていましたが、ずっと、途中で諦め投げ出す人生を歩んでいました。

 

でも、一連の出来事からの気付きで、「投げ出さない」「最後までやりきる」が少しずつできるようになっていきました。

 

すると、これまでは得られなかったものが得られるようになりました。

 

・自分が上手くできなかった原因が分かること

・失敗がいい影響を及ぼすこともあること

・改善点から、新しいアイディアを思いつくこと

 

そして、何より

・応援してくれる人の存在

です。

 

無理だと分かってて全力を出すのは辛いし、忍耐力が必要です。

 

100Mを3秒で走らなきゃいけないという場面

絶対無理だから「20秒でいいや」と歩くか、本気を出して、10秒で走るか。

 

結果はどちらもアウトだけど、その後の展開(物語)は大きく変わってくると思うのです。

正直、今でも「もういいかな」「もう無理かな」と思うことはあります。

 

でも、あの時のあの思いが「あと一回だけ」

そんな想いにさせてくれます。

 

もう二度と観客席から見た光景と、感じた悔しさは味わいたくない。

そう思っています。

 

初めてのインカレで流れていた音楽は今でも、自分の心が弱くなりかけた時に『頑張ろうスイッチ』を入れてくれる曲です。

 

 

最近、「原点にもどる事が必要だな」と感じることがあり、自分の原点(ターニングポイント)を振り返ってみた真夏の日でした。

 

 

 

舟木将人

 

 

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