11月コラム

『自分から始めるつながり』

 

 先日、まとまった時間ができたので、一人旅で屋久島に行ってきました。

もともとは、友人のいる四国へ行く予定だったのですが、急遽先方の都合が悪くなり、予定を変更しました。

 

ふと思いついた行き先が屋久島でした。国内旅行と言えば、もっぱら離島派の私ですが、その中でも屋久島は一番のお気に入りです。

 

屋久島の魅力は何より、自然が豊かなところ。どこを見ても視界に入る緑と、迫力ある山々、また、少し視線をずらすと青黒い綺麗な海。そして、心も身体も温めてくれる温泉。

 

屋久島に降り立った瞬間、屋久島の空気を感じ、「あ、これこれ!」となります。

 

そんな大好きな屋久島行きを決めたのが、出発の前日。急いで宿を予約しました。

 

2年ほど前にお世話になった民宿へ電話をして、空室状況を聞いてみると、「仕事ですか?何人ですか?何泊ですか?」とあまり歓迎ムードではなさそうな感じ。こちらの返事次第では断られそうな雰囲気。

 

離島あるあるというか、民宿あるあるですが、他にお客さんがいない時や、泊る人数が少ないと断られたりします。

 

なので、雲行きが怪しいと感じた瞬間、以前お世話になったことや、その時のエピソードを伝えると「あぁぁぁ!あの時の!ちょうど最近、女房とあの人来ないかな?なんて言ってたところなんだよ!」と一気に親近感のある反応に。

 

「いや~実は、長く滞在するお客さんがいて、疲れちゃって最近、全部断ってたんだよ」と本音を話してくれました。

 

前回は自身でレンタカーを手配しなければいけなかったのですが、「ウチにある車を使っていいから!」と車を貸してくれることになり、行き帰りの空港までも送迎してくれるとのこと。

 

こちらも、そんな大サービスしてくれるなら、と、お土産を持って行くことに。

前日に釣った屋久島にはいない魚とお菓子を持って行きました。

 

それに対しても喜んでくれ、「いや~久しぶりだな~!」と、2年ぶりの再会でしたが、きっちり自分のことを覚えてくれていました。

 

空港から宿までの道中は、「釣りをするならここに行けば良いよ」、「こんなお客さんが来たんだよ!」と話が盛り上がります。

 

宿に到着後は、急いで釣りへ。

釣れた魚を宿に持ち帰ると、「夕食にしよう!」と大喜び。

 

こちらからすると、「そんなに喜んでくれるの?」といった感覚になります。

 

「夜も疲れてて眠いけど、ちょっと釣りに行くか!」という気持ちになり、その夜も釣りへ。そこで、釣れると、また大喜び。

 

まるで、親戚の子が遊びに来たのを見るように嬉しそうな表情をしてくれ、「ああ、本当に来てほしいと思ってくれてたんだ」と思うと、こちらも何だか嬉しくなりました。

 

翌日は「船を出してあげるから一緒に行こう」と誘ってくれ、船にも乗せてもらえ、良い時間を過ごすことができました。

 

同じように楽しめる人がいたり、自分の好きなことを一緒にやってくれる人や、同じ温度で話ができる人がいると嬉しいのかご主人がとてもイキイキしていました。

 

今回は2度目でしたが、改めて前回お世話になった時のことが、「つながっているな」と感じました。

 

普通に宿の利用者として、泊って御礼を言って帰る。だけでなく、ちょっとしたお土産を持って行ったり、共通の話があり会話が盛り上がったり、部屋を綺麗に使う、出されたご飯は全部食べる。

 

など、小さなことの積み重ねが印象に残るんだと思いました。

実際に、「あなたは出したもの全部食べるから、作り甲斐があるわ~」と言われました。

 

好きなものだけ食べればいい。そんな考えもあるでしょうが、やはり、作ってくれた人の立場に立ってみると出したものを全部食べてくれると嬉しいものだと思います。

 

小さなgiveの気持ちが、相手の小さなgiveを生む。一回り大きくなったこちらのgiveが、また相手のgiveを生む。

 

それが、普通では体験できないことを体験させてもらえることに繋がりったり、良い関係性が築かれていくのだと改めて感じました。

 

そして、そのキッカケは自分の少しの勇気や、気持ち、行動。

どんなお土産だったら喜ばれるかな? 正解は分からないけど想像してやってみる。

 

話しかけるより、話しかけられる側や、やる側よりやってもらう側の方が気楽なのは確かだけど、それは誰にとっても同じ。

だから、自分から。

 

「また来るね!」は100人いたら90人が言う。で、実際に来るのは1人か2人。

 

小さな自分からの一歩、そして、実際の行動がつながりの輪を大きくしていくのだと思います。

 

そんな『つながりの輪』をたくさん持っていると幸せなんだろうなと感じた最近でした。

 

 

舟木将人

 

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